読書録1

読書の記録。

本当はちがうんだ日記 (集英社文庫)

本当はちがうんだ日記 (集英社文庫)

読書について

読書について

バードの妹

バードの妹

青の伝説 (講談社文庫)

青の伝説 (講談社文庫)

本当は違うんだ日記の中に、

人のセンスについて書いてる章がある。

作者の穂村さんがダイエットに成功した友達と話しているところから始まる。

その友人は、コツコツとバランスの良い食事を取り続け、ウォーキングを3ヶ月続けたらその次の月から体重が落ち出したと話す。

穂村さんはそこで驚愕する。

つまり、体重の変化がない3ヶ月も同じことを続けられた友人に驚くのである。

それに対して、友人は、

上手く行く時ってそんな感じだから。といった調子で答える。

エッセイの中で、穂村さんは、そういったセンスが自分にはない、羨ましいとまでは書いてなかったかもしれないが、自分だったらきっと3ヶ月経つ前にやめてしまうだろうと綴っていた。

読んだ後、物凄い穂村さんに共感した。

全くもってわたしも同じだ。

始めて1週間で、全然効果ないじゃんとやめていったことが何個あるだろう。数えたら恐ろしい数になりそうだ。

しかし、世の中には、わたしの友人でもそういった人はいるが、コツコツとやっていることが、何ヶ月何年か先に効果が出ることを知っている人がいて、それが正しい努力かどうか感覚で分かる人がいる。

きっと幼少期から何かにチャレンジし、成功体験も失敗体験もきちんと培った人なのだろうなと思う。

羨ましい。物凄い羨ましいのだけど、

もはや、やり直す精神力と体力が足りない。

そう思いながら、寝っ転がってテレビを見て結局ケラケラ笑うのである。

そうして、たまたま見たダイエット特集に感化され、1週間だけ付け焼き刃のストレッチなどしてみるのである。

数学と結婚

先日、大学時代の友達の結婚式に行ってきた。

彼女は大学に残って先生をしている。数学の准教授である。

 

ゆえに、結婚式の恩師からのスピーチは、彼女の指導教官である教授。

大学友人として出席している我々にとっても、馴染みのある先生。

 

我々は、とても先生を心配していた。もともと声も小さく、震えがちな先生。

披露宴の前に少し話した先生からはビリビリと緊張が伝わってきていた。

 

これは、心配。

 

同じテーブルに座っている我々皆が、口には出さないが、同じことを思っていた。

加えて、新郎側の上司は、大きな声でハキハキと笑いも取りつつ小慣れた様子でスピーチを終える。続いて先生。

 

これは物凄くやりずらい。

 

静かに席を立った先生は、いつもの調子で小さな声で話し始めた。

新婦である彼女に初めてあったときの話からポツリポツリと。

そして、ひと段落したところで、先生が次の話題へ移った。

 

’それでは、彼女の研究内容について説明します。

彼女は、非線形波形について研究しています。

非線形とは、線形に非ず。と書きます。’

 

と、大学の講義と変わらない内容になってきたところで、

不安が的中したのではないかと、私は物凄く不安になっていた。

私の気持ちなんて、先生は知る由もなく、ゆっくりと話続ける。

 

’線形とは1+1=2の世界です。

非線形とは1+1=0.5や3になる世界のことを言います。’

 

会場のみんなの頭の上に、見えない「?」が見えたのか、先生は具体例を出します。

 

’世の中は、非線形である事象の方が沢山あります。自然なことです。

サッカーチームでスター選手を集めても、11倍にはならないでしょう。

反対にそうでないチームでも、連携が取れていれば、より強くなる。

みなさん知っての通り、スポーツの世界ではよくあることです。’

 

そして先生は続ける。(中略)

 

’彼女の研究しているものは、こういった世界のものです。

どうか二人も、1+1=3にも4にもなるような、非線形の素敵な結婚生活を送ってください。’

 

と、慣れないお辞儀をして先生は静かに席に戻った。

 

 

「なんだか勉強になるスピーチでしたね。」と、式場の司会の人は、言っていたけれど、あとで同じテーブルのみんなが、

 

何だかジンときたね。

 

と自分と同じことを思っているのを聞いて、全然真面目に数学もやっていなかったけど、少しはやってて良かったな。と静かに思った結婚式だった。

 

式自体も、とても素敵で(ドレスは新婦のおばあちゃんの手作り!)、とてもいい式だった。彼女にこれからも幸が多いことを祈ります。

 

ということでこちらでブログ始めます。